2015年 09月 05日
石膏の話し |
吉橋です。
あらためて化学式にするとちょっと違う世界な感じがします。
今日は、この白い粉末のお話しです。
怪しい粉ではありません(笑)
型屋にとっては欠かすことのできない石膏です。
陶磁器に関わる方以外では、
建築などで使われる石膏ボードの方がイメージが湧くかもしれません。
型で成形する陶磁器のほとんどが石膏型によって作られています。
化学式で書くと
CaSO₄・1/2H₂O + 3/2H₂O →CaSO₄・2H₂O
です。
硫酸カルシウムの化合物です。
CaSO₄・1/2H₂Oが上の写真の状態。
焼石膏といわれていて、この状態のものを仕入れます。
そこに水を加えて化学反応させると、硬化して
CaSO₄・2H₂O(二水石膏)となります。
これが石膏型の状態です。
硬化したばかりの型は水分が飽和状態にあるので、
余分な水分を乾燥して取り除いてやると、型として使える状態になります。
乾燥しすぎるとCaSO₄(無水石膏)になってしまい、型が崩壊します。
ときどき、「型がボロボロに崩れちゃうんだけどー」ていうクレームをいただきます。
乾燥しすぎには注意しましょう。(特に窯の余熱で乾燥する場合)
石膏の原料は天然の原石を粉砕して製造するパターンと
化学的に製造する化学石膏のパターンがあります。
現在は、諸々の事情により、原石を輸入する方が多いのではないでしょうか。
あと、よく聞かれるのが、使用済み石膏型の処理方法。
これは3パターンあって、
1、焼石膏への再利用
2、セメント原料への利用
3、産業廃棄物として埋め立て
1は陶磁器用の型として廃棄される石膏の10%くらいだそうです。
3は処理場の場所不足など今後の課題となりそうです。
型屋は型をたくさん作らないと儲からないけど、
何でも作ればいいっていうものでもないですね。
原石も場所も限りあるものですので大切に使いたいですね。
ただ粉末を水で撹拌して固めるだけの作業ですが、
型屋あるある
夏は温泉の匂いがする(理由は化学式をご覧ください)
by mmyoshihashi
| 2015-09-05 16:12
| 型屋のこと