エム・エム・ヨシハシの商品に、彫付 魚偏漢字湯呑とTrace Face Cupという商品があります。
魚偏漢字湯呑は、お寿司屋さんで見たことがある?あの魚の名前がたくさん書いてある湯呑の漢字の部分を彫って作ったもの、
Trace Face Cupはニットの模様をカップの表面に立体的にあしらったものになります。
どちらも模様を彫刻して作るという点では同じですが、作る工程は全く違います。
魚偏漢字湯呑は湯呑の表面に対して文字が凹んでいます。それに対してTrace Face Cupは、模様がカップの表面よりも出ています。
作り方は原型職人によって違うので、どの作り方が正解っていうのはないのですが、私の場合は、魚偏漢字湯呑のような凹んだ模様は、ベースとなる形状を削り出して、その原型に直接模様を彫り込んでいきます。
Trace Face Cupの様な凸の模様の場合は、ベースとなる形状を削り出したら型取りをして、できた型の方を彫っていきます。この時、製品と逆向きに彫ることになるので、文字や向きがある模様の場合は間違えない様に注意です。
この様に模様の彫刻の場合は、違いが分かりやすいのですが、実はシンプルな形状の皿や鉢でも、形状によって作り方が変わります。似た様な形状でも、ちょっとした細かい部分が違うだけで、全く違う作り方をしなければならないこともあって、毎回頭を悩ませます。
原型を作る仕事は、基本的には同じものを2度作ることはありません。新しい形状を作る度に一から設計や工程を考え、実際に窯から製品が焼けて出てくるまでは毎回ドキドキです。
それを考えるのもこの仕事の楽しい部分でもあるんですけどね(^_^)
吉橋