TETANPOを一緒に開発したデザイナーの上田さんから連絡が来たのは、たしか2020年の年末だったと思います。
(上田さんのついっはこちらから→ https://twitter.com/kkahmtm1105 )
彼がまだ学生の頃に同級生と一緒に工場見学に来てくれていたのですが、久しぶりに同級生と一緒に工場を訪ねてきてくれました。
たまたまその時に名古屋で私が主催した瀬戸焼のイベントを開催していたので「帰りに見ていくと勉強になるよ」なんて話していたら、律儀にもちゃんとイベントに寄ってくれて、私が作った牛の置物を買ってくれたそうです。
その数日後に連絡をくれました。
↓↓これです。
その内容が、「お湯を入れてみたらめっちゃ温かかったです!」って。
まずは、なんでお湯入れた???ってなりますよね?
お湯を入れてこんな感じで持ったらいい感じだったそうです。
頭の中???のオンパレードだったんですが、こんな発想は普段からやきもの業界にどっぷり浸かっている人間では絶対できないと思ったらなんだか楽しくなってきて、「じゃあデザインしてみる?」と軽ーいノリで始まってしまいました。
この時は、後々大変なことになるとは思ってもみませんでした。
お互い普段の仕事の合間をぬって、男二人で「どんな動物が手のひらに乗ってたら可愛いかな💕」なんてことを散々ZOOMで話し合って、上田さんがインコ🦜を飼っているということもあり、まずは小鳥を作ろう!ということで決まりました。
エム・エム・ヨシハシのものづくりは、まずは焼いてもらう窯元を決めるところから始まります。
瀬戸や美濃だけでも窯元が数百軒あって、それぞれ使っている土も違えば、成形方法、焼き方、生産規模など1軒として同じところはないと言えるくらいみんな違っていて、その中から自分が表現したいものを一番表現できるのはどの窯元だろうということを考えます。
プラス今回の場合は、おそらく素材によって熱伝導率や保温性が大きく違うということが想像できたので、ちょっと条件が複雑そうでした。
形状から考えると成形方法はガバ鋳込み(排泥鋳込み)、どれくらい売れるか想像もつかないので小ロットで対応してくれて、尚且つ、たくさん売れた時もある程度対応してもらえる窯元。そして何より、こういった訳のわからないものを面白がって協力してくれる窯元(←ここ大事)
こんな感じで、まずは扱っている素材の違う2軒の窯元に協力してもらって開発を進めることになりました。
一軒は磁器、もう一軒は磁器と半磁器(陶器の中間くらいの素材)でスタートです。
サイズ感や形状のラフスケッチを元に粘土で原型を作り出したのですが、何しろ私は小鳥を飼った事がないので、鳥好きさんが納得するようなフォルムを作り出すのが大変でした。
それにしても鳥好きさんの鳥への愛情ってすごいですね!
原型を作って写真を見せて(時には原型を送ったり)、その度に細かな(本当にわからないくらいのわずかな)修正指示がきて、何度も何度も少しずつ原型を修正して、やっとサンプル用の型取りができる段階まで辿り着きました。
↓こんな感じで指示がきます。
最初のサンプルは、焼き上がりのサイズ感と形状を確認することと、2つの素材の違いを検証することです。
やきものは焼成すると10〜14%くらい小さくなるのであらかじめその分を見越して大きく作るのですが、今回は持った時の「持ち心地」がすごく大切なので、サンプルが焼き上がって初めて答え合わせができます。
ファーストサンプルです。最初は頭にコルクのデザインでした。

サイズ感はまあまあ狙った通りの感じでしたが、持ち心地の部分が要修正でした。
ちょっと手に引っかかるというか、なんとなくしっくりこない感じ。
素材については、磁器だとお湯の熱がダイレクトに伝わってくる感じで、悪くないんだけど小鳥さんにはちょっと刺激が強く感じました。
半磁器はじんわり温まってくる感じで保温性もいいということで、今回の素材は半磁器で進めることになりました。
これでサイズ感と素材の問題はクリアです。
あとは形状を修正して完成ー!といきたいところですが、一つ懸念している事がありました。
長くなりそうなので続きは〈後編〉で。